2011年3月11日 14:46, 東日本の全域が激しく揺れた. 直後,青森県,岩手県,宮城県,福島県,茨城県,千葉県の太平洋沿岸地域に大津波が押しよせ,未曽有の大被害をもたらした. 太平洋三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)だ. 地震の規模を示すマグニチュードは M9.0 で,日本の近代観測史上最大規模の地震だった.
この地震によって,東京電力管内(1都8県)だけでも約 405 万軒が停電する事態となる. 首都圏のLNG火力発電所 15カ所,発電機 81台のうち,運転中であった 63台中13 台が緊急停止した. 火力発電所の総出力は,約3割(848万kw)減少した.
特に,太平洋沿岸の3カ所の東京電力火力発電所(広野,常陸那珂,鹿島)では,運転中の発電機 7台すべてが停止し,休止中だった5台を含め被害を受けた. その他,東京電力の送電系にも大きな被害が出た. 東京電力と,その協力会社の復旧作業により,地震発生の翌日には約 60万軒まで復旧,4日後には約 7300軒を残すところまで復旧をさせている.
揺れの強さを示す値として,気象庁が使っているのが震度階級となる. 震度 0(無感)から震度 7(激震)までの 8段階に,震度 5(強震)と 6(烈震)にはそれぞれ強(+)弱(-)の2段階となり,10段階設定されている. 震度5を超えると,建物などが壊れるなどの被害がでる.
具体的には,震度5で壁に亀裂が走り,石垣などが破損し,棚の食器などが落ち,家具が倒れたりする. 震度6では,がけ崩れがおき,耐震性の低い家屋は倒壊(約30%)する. さらに震度7では,山崩れや地割れがおき,耐震性の高い建物でも大きな破壊がおき,テレビなどが空に舞う.
東北地方太平洋沖地震の各地の震度は,宮城県栗原市で震度7, 栃木県宇都宮市で6強, 千葉県成田市で6弱(5.6), 千葉市美浜区稲毛海岸で 5強(5.2), 習志野市鷺沼で5強(5.0), 市川市八幡で5弱(4.9), 船橋市湊町で5弱(4.8) を記録した.
その他にも,地震の大きさを表す単位として,ガル(gal)やカイン(kine),マグニチュード(M)などがある. 1秒につき 1cm の速さの変化)を表した加速度単位がガル(gal=cm/s2)で,振動の激しさを表す. ガルは,気象庁方式震度階級も,主にガルを使って計算(震度=log10{0.3秒続く最大のガル値}*2+0.94)される.
しかし,同じ震度階級であっても建物破壊に大きな違いが出ることがある. 加速度(ガル)よりも,揺れの強さの速度の単位であるカイン(cm/s)の方が,建物の被害状況をよく表現するとされ,構造物の耐震度をみるときにカインを用いることが多くなっている. SI値(スペクトル強度,単位はkineまたはcm/s)と言うこともある.
JR東日本も,2003年4月から在来線に設置されている地震計を改修しSI値(単位kine)を測定できるようにしている. 一般線区では,6kine で速度規制,12kine で運転中止となる. 1979年(昭和54年)の新耐震設計指針で設計された埼京線などは,9kine で速度規制,18kine で運転中止となる. 都市ガスは,SI値が 60kineを超えているブロックは供給停止とする.
過去の大地震をみると,2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が最大 342kine(一般的な住宅地は100kine程度),2933gal,M9.0. 2004年の潟県中越地震が最大 148kine,1722gal,M6.8. 2000年の鳥取県西部地震が最大 147kine,1142gal,M7.3. 1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)が最大 112kine,891gal,M7.2.
2008年の岩手宮城内陸地震が最大100kine,4022gal,M7.2. 1993年の釧路沖地震が最大 67kine,922gal,M7.5. 2003年の十勝沖地震 52kine,985gal,M8.2. 1978年の宮城県沖地震が最大 36kine,1304gal,M7.5 となっている.
<追記>2016年の熊本地震(九州熊本阿蘇大分震災)の本震は最大 92kine,1580gal,M6.5.
1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)では,犠牲者の 90% が倒壊した家具や建物の下敷きによる圧死であったが,東日本大震災では圧死はほぼなく,ほとんどが津波による溺死だった. この結果だけでも,震度や加速度(gal)と,構造物の被害が連動していないことがわかる. 構造物には,その形状や寸法,材質などによって,それぞれ揺れやすい周期(固有周期)がある.
▼FMラジオ共同キャンペーン「千葉ネクストラジオ」オープニング.
木造家屋や中低層建築物が最も揺れやすい周期は1秒-2秒で,1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)や2004年の潟県中越地震がその周期で共振し,多くの構造物が被害を受けた. 一方,2011年の東北地方太平洋沖地震は,周期 0.5秒未満の揺れであったため,構造物の被害は大きくならなかった.
しかし,震度やガル(gal),カイン(kine)も,周期2秒-5秒の長周期地震動や,周期100秒以上の超長周期地震動には対応できていない...続きを読む
この地震によって,東京電力管内(1都8県)だけでも約 405 万軒が停電する事態となる. 首都圏のLNG火力発電所 15カ所,発電機 81台のうち,運転中であった 63台中13 台が緊急停止した. 火力発電所の総出力は,約3割(848万kw)減少した.
特に,太平洋沿岸の3カ所の東京電力火力発電所(広野,常陸那珂,鹿島)では,運転中の発電機 7台すべてが停止し,休止中だった5台を含め被害を受けた. その他,東京電力の送電系にも大きな被害が出た. 東京電力と,その協力会社の復旧作業により,地震発生の翌日には約 60万軒まで復旧,4日後には約 7300軒を残すところまで復旧をさせている.
揺れの強さを示す値として,気象庁が使っているのが震度階級となる. 震度 0(無感)から震度 7(激震)までの 8段階に,震度 5(強震)と 6(烈震)にはそれぞれ強(+)弱(-)の2段階となり,10段階設定されている. 震度5を超えると,建物などが壊れるなどの被害がでる.
具体的には,震度5で壁に亀裂が走り,石垣などが破損し,棚の食器などが落ち,家具が倒れたりする. 震度6では,がけ崩れがおき,耐震性の低い家屋は倒壊(約30%)する. さらに震度7では,山崩れや地割れがおき,耐震性の高い建物でも大きな破壊がおき,テレビなどが空に舞う.
東北地方太平洋沖地震の各地の震度は,宮城県栗原市で震度7, 栃木県宇都宮市で6強, 千葉県成田市で6弱(5.6), 千葉市美浜区稲毛海岸で 5強(5.2), 習志野市鷺沼で5強(5.0), 市川市八幡で5弱(4.9), 船橋市湊町で5弱(4.8) を記録した.
その他にも,地震の大きさを表す単位として,ガル(gal)やカイン(kine),マグニチュード(M)などがある. 1秒につき 1cm の速さの変化)を表した加速度単位がガル(gal=cm/s2)で,振動の激しさを表す. ガルは,気象庁方式震度階級も,主にガルを使って計算(震度=log10{0.3秒続く最大のガル値}*2+0.94)される.
しかし,同じ震度階級であっても建物破壊に大きな違いが出ることがある. 加速度(ガル)よりも,揺れの強さの速度の単位であるカイン(cm/s)の方が,建物の被害状況をよく表現するとされ,構造物の耐震度をみるときにカインを用いることが多くなっている. SI値(スペクトル強度,単位はkineまたはcm/s)と言うこともある.
JR東日本も,2003年4月から在来線に設置されている地震計を改修しSI値(単位kine)を測定できるようにしている. 一般線区では,6kine で速度規制,12kine で運転中止となる. 1979年(昭和54年)の新耐震設計指針で設計された埼京線などは,9kine で速度規制,18kine で運転中止となる. 都市ガスは,SI値が 60kineを超えているブロックは供給停止とする.
過去の大地震をみると,2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が最大 342kine(一般的な住宅地は100kine程度),2933gal,M9.0. 2004年の潟県中越地震が最大 148kine,1722gal,M6.8. 2000年の鳥取県西部地震が最大 147kine,1142gal,M7.3. 1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)が最大 112kine,891gal,M7.2.
2008年の岩手宮城内陸地震が最大100kine,4022gal,M7.2. 1993年の釧路沖地震が最大 67kine,922gal,M7.5. 2003年の十勝沖地震 52kine,985gal,M8.2. 1978年の宮城県沖地震が最大 36kine,1304gal,M7.5 となっている.
<追記>2016年の熊本地震(九州熊本阿蘇大分震災)の本震は最大 92kine,1580gal,M6.5.
1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)では,犠牲者の 90% が倒壊した家具や建物の下敷きによる圧死であったが,東日本大震災では圧死はほぼなく,ほとんどが津波による溺死だった. この結果だけでも,震度や加速度(gal)と,構造物の被害が連動していないことがわかる. 構造物には,その形状や寸法,材質などによって,それぞれ揺れやすい周期(固有周期)がある.
▼FMラジオ共同キャンペーン「千葉ネクストラジオ」オープニング.
木造家屋や中低層建築物が最も揺れやすい周期は1秒-2秒で,1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)や2004年の潟県中越地震がその周期で共振し,多くの構造物が被害を受けた. 一方,2011年の東北地方太平洋沖地震は,周期 0.5秒未満の揺れであったため,構造物の被害は大きくならなかった.
しかし,震度やガル(gal),カイン(kine)も,周期2秒-5秒の長周期地震動や,周期100秒以上の超長周期地震動には対応できていない...続きを読む