2011年3月11日(金) 14:46 に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では,震源地から 390km も離れた関東圏でも大きな揺れとなった.
京成電鉄の地震計は震度5以上を観測し,走行中の全列車が緊急停車する. さいわい乗車客などにケガはなく,駅間に緊急停車した列車の客は,最寄り駅まで避難誘導された.
東京電力(株)の,福島第一原子力発電所および第二原子力発電所をはじめ,火力発電所,水力発電所,それらをつなぐ変電所,送電設備などににも大きな被害が発生したことから電力不足となり,京成電鉄も輪番停電を実施することとなる. 京成線全線で,震災前のダイヤにほぼ戻ったのは,ほぼ半年後の2011年9月10日からとなる.
関東圏の周期的な地震には2種類ある. 70年-80年に1回発生するマグニチュード(M)7クラスの首都直下地震(南関東直下地震)と,約200年に1回発生する M8クラスのプレート間で起きるの海溝型地震だ.
今懸念されているのが,南関東直下地震で,今後30年以内に発生する確率は 70% といわれる. 建物の全壊棟数および火災で焼失する棟数は約85万棟,負傷者数21万人との予想が出ている.
1923年(大正12年)9月1日 11:58 に発生した大正関東地震(関東大震災)はプレート間の海溝型巨大地震で,マグニチュード(M)7.9 とされている. 震源地は相模湾海溝(相模トラフ)の最深部北西端であったことから,神奈川県の住宅などの全壊棟数は 6.2万棟,東京府が2.0万棟であった.
もうすぐ昼の食事時間ということもあり,家庭や工場では火を使った炊事をしているころが多かった. 当日は,強風と猛雨に見舞われていたこともあり,東京府下町を中心に大規模な火災が発生し,これが被害を大きくした. 東京府の死者行方不明者数が 7.0万人, 神奈川県が 3.2万人, 千葉県が 0.1万人で総死者行方不明者数は 10.5万人となっている. . 日本の災害史上最悪の地震となった.
▼熱海線の根府川駅では,地滑りよって列車が海中に転落し,死者 10人,重軽症者 13人,行方不明者 100人以上の大惨事となった.
相模湾ぞいを走行する熱海線(小田原駅と熱海駅間)では,機関車や客車が横倒し,線路はいたる所で寸断された. 茅ヶ崎駅-平塚駅間のレンガ積みの旧馬入川橋梁も崩落する. 現在も,一部の橋脚が残っている. これで,鉄道による支援物資の輸送や被災者の避難はできなくなり,海上を利用せざるを得なくなる.
熱海には,地震発生後わずか 5分で高さ約 13m の大津波が押寄せ,海岸の民家 150戸余りが飲み込まれた. 翌日の9月2日には外房(房総半島)の千葉県勝浦沖で M7.3 の余震が起きた. この被害によって熱海線は,そのまま廃線となる.
▼1923年(大正12年)関東大震災の東京府の難民(左). ▼1933年(大正22年)関東大震災から復興10年後の東京府(右).
「M7クラスの地震がいつ起きても不思議でない」といわれる南関東直下地震だ. 通勤通者などの鉄道利用者のピークは8時ごろとなる. この時間帯は約120万人が走行中の電車に乗っている. 駅舎の跨線人道橋などが落下して,ほぼギュウギュウ詰めの満員電車がぶつかれば大きな被害となりかねない.
▼京成本線船橋競馬場駅.
京成電鉄は,1995年(平成7年)1月17日の阪神淡路大震災を契機に,昭和初期に高架化された上野駅-堀切菖蒲園駅間の高架橋と,千葉線の京成千葉駅-千葉中央駅間の高架橋の耐震補強工事を実施.
2006年度から駅舎部分. 2008年度から変電所の耐震補強工事に着手している. 2010年度には千住大橋駅,京成関屋駅,青砥駅,京成千葉駅の耐震補強工事を実施している.
だが,2010年度の成田スカイアクセス線開業にともなう日暮里駅の改良工事, 押上駅-曳舟駅間, 押上駅-八広駅間, 四ツ木駅-青砥駅間の連続立体化工事なども並行して実施していることから進捗は遅い. 2011年3月11日の東日本大震災を踏まえ,高架橋や駅舎などの耐震補強など地震に対する安全性向上のための工事を急いでいる.
そして,2014年度から進めていた京成津田沼駅およびユーカリが丘駅の駅舎耐震補強工事を2016年3月に完了した. また,京成上野駅-国府台駅間の高架橋の柱の耐震化工事も2016年度中に完了した.
現在は,船橋競馬場駅と谷津駅の駅舎の耐震工事を行っている...続きを読む
京成電鉄の地震計は震度5以上を観測し,走行中の全列車が緊急停車する. さいわい乗車客などにケガはなく,駅間に緊急停車した列車の客は,最寄り駅まで避難誘導された.
東京電力(株)の,福島第一原子力発電所および第二原子力発電所をはじめ,火力発電所,水力発電所,それらをつなぐ変電所,送電設備などににも大きな被害が発生したことから電力不足となり,京成電鉄も輪番停電を実施することとなる. 京成線全線で,震災前のダイヤにほぼ戻ったのは,ほぼ半年後の2011年9月10日からとなる.
関東圏の周期的な地震には2種類ある. 70年-80年に1回発生するマグニチュード(M)7クラスの首都直下地震(南関東直下地震)と,約200年に1回発生する M8クラスのプレート間で起きるの海溝型地震だ.
今懸念されているのが,南関東直下地震で,今後30年以内に発生する確率は 70% といわれる. 建物の全壊棟数および火災で焼失する棟数は約85万棟,負傷者数21万人との予想が出ている.
1923年(大正12年)9月1日 11:58 に発生した大正関東地震(関東大震災)はプレート間の海溝型巨大地震で,マグニチュード(M)7.9 とされている. 震源地は相模湾海溝(相模トラフ)の最深部北西端であったことから,神奈川県の住宅などの全壊棟数は 6.2万棟,東京府が2.0万棟であった.
もうすぐ昼の食事時間ということもあり,家庭や工場では火を使った炊事をしているころが多かった. 当日は,強風と猛雨に見舞われていたこともあり,東京府下町を中心に大規模な火災が発生し,これが被害を大きくした. 東京府の死者行方不明者数が 7.0万人, 神奈川県が 3.2万人, 千葉県が 0.1万人で総死者行方不明者数は 10.5万人となっている. . 日本の災害史上最悪の地震となった.
▼熱海線の根府川駅では,地滑りよって列車が海中に転落し,死者 10人,重軽症者 13人,行方不明者 100人以上の大惨事となった.
相模湾ぞいを走行する熱海線(小田原駅と熱海駅間)では,機関車や客車が横倒し,線路はいたる所で寸断された. 茅ヶ崎駅-平塚駅間のレンガ積みの旧馬入川橋梁も崩落する. 現在も,一部の橋脚が残っている. これで,鉄道による支援物資の輸送や被災者の避難はできなくなり,海上を利用せざるを得なくなる.
熱海には,地震発生後わずか 5分で高さ約 13m の大津波が押寄せ,海岸の民家 150戸余りが飲み込まれた. 翌日の9月2日には外房(房総半島)の千葉県勝浦沖で M7.3 の余震が起きた. この被害によって熱海線は,そのまま廃線となる.
▼1923年(大正12年)関東大震災の東京府の難民(左). ▼1933年(大正22年)関東大震災から復興10年後の東京府(右).
「M7クラスの地震がいつ起きても不思議でない」といわれる南関東直下地震だ. 通勤通者などの鉄道利用者のピークは8時ごろとなる. この時間帯は約120万人が走行中の電車に乗っている. 駅舎の跨線人道橋などが落下して,ほぼギュウギュウ詰めの満員電車がぶつかれば大きな被害となりかねない.
▼京成本線船橋競馬場駅.
京成電鉄は,1995年(平成7年)1月17日の阪神淡路大震災を契機に,昭和初期に高架化された上野駅-堀切菖蒲園駅間の高架橋と,千葉線の京成千葉駅-千葉中央駅間の高架橋の耐震補強工事を実施.
2006年度から駅舎部分. 2008年度から変電所の耐震補強工事に着手している. 2010年度には千住大橋駅,京成関屋駅,青砥駅,京成千葉駅の耐震補強工事を実施している.
だが,2010年度の成田スカイアクセス線開業にともなう日暮里駅の改良工事, 押上駅-曳舟駅間, 押上駅-八広駅間, 四ツ木駅-青砥駅間の連続立体化工事なども並行して実施していることから進捗は遅い. 2011年3月11日の東日本大震災を踏まえ,高架橋や駅舎などの耐震補強など地震に対する安全性向上のための工事を急いでいる.
そして,2014年度から進めていた京成津田沼駅およびユーカリが丘駅の駅舎耐震補強工事を2016年3月に完了した. また,京成上野駅-国府台駅間の高架橋の柱の耐震化工事も2016年度中に完了した.
現在は,船橋競馬場駅と谷津駅の駅舎の耐震工事を行っている...続きを読む