東西に長い日本は,北海道が亜寒帯,沖縄県が亜熱帯,それ以外の大部分の日本列島が温帯となっている. 温帯と亜寒帯であれば,ほぼ世界中に四季はある. 四季という考え方も中国から渡ってきたものだ. だが,四季の変化を楽しむ風習が多いのは,日本だけかもしれない.
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野山や海岸などの自然豊かな場所に出かけて食事をするピクニックの風習(文化)が世界中にあっても,サクラをみながら団子や弁当を食べ,酒を飲み交わしながら春の訪れを楽しむ「お花見」という風習があるのは日本だけだ.
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お花見」の風習は,奈良時代に貴族の娯楽として始まった. 最初の「お花見」は,サクラ(桜)ではなく中国から贈られたウメ(梅)であった. それが,平安時代ごろからサクラへと変わる. 鎌倉時代になると,武士や町人の間でも「お花見」の風習が定着し始める. その「お花見」の代表的なサクラが,ソメイヨシノ(染井吉野)だ 江戸時代末期に登場した比較的新しい品種となる.
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当初は,ヨシノサクラ(吉野桜)として販売されていたが,奈良の吉野山のヤマザクラと混同しやすいことから,1900年(明治33年)に今のソメイヨシノ(染井吉野)という名前に改められた. ソメイヨシノのソメイは,染井村(現,東京都豊島区駒込)の植木屋が売り出したからと伝えられている.
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ソメイヨシノは,最近の遺伝子解析により,日本原産種のエドヒガンザクラ(江戸彼岸桜,母種)とオオシマザクラ(大島桜,父種)の交配で生まれたとわかっている. 若葉が出る前にピンクの花が咲きそろうエドヒガンザクラと,大輪で花付きの良いオオシマザクラの良い特徴を受け継いでいる.
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しかしソメイヨシノは,自然に増えることができない. ソメイヨシノ同士での交配ができないからだ. 他の種での交配はできるが,その種はもはやソメイヨシノの特徴は持っていない. そのため,さし木つぎ木でしか繁殖できない. 一般的には,マザクラ(アオハダサクラ)を台木につぎ木をして,ソメイヨシノのクローンを増やしていく.
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千葉大学の研究チームが,ソメイヨシノの原木の可能性のある木を,上野公園で見つけた. この説が正しければ,上野公園の1本(原木)から日本全国ばかりか,米国ワシントンDCにあるポトマック川の桜並木など,世界の多くの国へと広がったことになる.
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東京のお花見人出ランキングで第1位(人出はのべ200万人)となっているのが,上野公園ソメイヨシノだ. 旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」などで海外の旅行者にも知られていて,かなりの外国人(中国人)観光客も来ている.
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上野公園の「お花見」の場所取りは,大変なので有名だ. 会社の「お花見」の場所取りといえば新入社員がおこなうのが定番だ. 朝 5:00 からブルーシートを敷くことになるが,前日からの徹夜での場所取りはできないルールとなっている. さらに,その場所に常時人がいない場合は,パトロールの職員や警備員によってすぐに撤去されてしまう。
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「トリップアドバイザー」や「YouTube」によせられた海外の反応や評判を見ていくと,「一日でいいから日本のキレイなサクラに囲まれてお花見がしたい」といった声があがっている. だが,場所取りができない観光客個人にとって,缶ビール片手に「お花見」の気分を味わうことはできにくい状況だった.
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そのような観光客や仕事帰りの個人のためにと,新たなしくみを考えだした...続きを読む