ファストフードの王者マクドナルドの閉店が日本全国で相ついでいる. 日本マクドナルドは,2015年には,成長が見込めない店舗を戦略的に 131店舗を閉店させ,さらに賃貸契約切れなど(マクドナルドでは通常閉店という)によって 59店舗を閉店させた. また,約500店舗を積極的なリニューアルをおこなった. 2016年も,30店-60店を閉店(通常閉店)させる.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2014年10月29日時点).
原因は,日本のマクドナルド各店で起きた,たび重なる「マクドナルド異物混入事件」による売り上げ減による. では,「マクドナルド異物混入事件」とは,どのような事件だったのだろうか.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2016年3月26日時点). ▼2006年に大幅なリニューアルがおこなわれ,子どもだけでなく大人も利用しやすいデザインとした.
(事件1).2014年8月26日,大阪府河内長野市のマクドナルド外環河内長野店では,マックフライポテトに人の歯が混入していた. マクドナルド側は,歯に油の付着がなかったことから,揚げた後に混入したと考えられるとしていた. また,報告した客も店舗従業員全員にも,歯が抜けたような人はいなかった. また,「製造した米国マックフライポテトの工場はマスク着用義務があるので歯の混入はありえない」と説明していた. だが後日,「米国製造工場はマスク着用をしていなかった」と訂正した. マクドナルドは,製造現場をよく把握していなかった.
▼なぜかマックフライポテトに混入していた人の歯. ▼状況から,冷凍ポテトに入っていたものと思われる. ▼DNA調査をすれば,東洋人か西洋人かくらいはわかりそうだ.
(事件2).2014年12月19日,福島県のマクドナルド4号線郡山安積店にて,サンデー(アイスクリームにシロップやチョコレートや果物のソースをかけたもの)を食べた子どもが,口をケガした. ソフトクリームマシンの内部品が破損し,プラスチック片が混入したためだった.
▼月見バーガーに混入していたかなり大きい卵の殻(左). ▼マックマフィンに混入していた 1cm のナットで,前歯3本が欠けてしまった(右). ▼金属探知器を使えば容易に検知できるはずだったが,日本の大手製造工場では常識になっている機器は使っていなかった.
(事件4).2015年1月3日,青森県のマクドナルド三沢店のドライブスルーで購入したチキンマックナゲットの中に,薄い紐状の青いビニールのようなものが入っていた. 青いビニールのようなものは,ポリアセタール(POM樹脂)であることが確認されたが,チキンマックナゲット製造工場では利用していないことから,混入経路の特定はできなかった. だが,内部に入っていたことから,揚げる前に混入したのはあきらかだ. ポリアセタール(POM樹脂)の成形温度は190℃-210℃なので,190℃の油で揚げるチキンマックナゲットの中であれば,溶けずに残った可能性がある.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2016年3月31日時点).
これらの4件の異物混入事件に対して,2015年1月7日のマクドナルド社幹部が会見をおこなった. ここで「(自社ルールに照らして)対応については適切だと思っている」と謝罪しなかったことで,市民に不信感を抱かせてしまった.
また,原田泳幸元社長(現,ベネッセ社長)の後任として日本マクドナルド社CEOに就任したサラ.L.カサノバ代表取締役社長が,全面に出て説明しなかったことで,「会社としての危機認識がない」,「反省していない」,「問題を改善するつもりがない」,「逃げ回っている」と見られてしまった.
その後,テレビなどで釈明するが,当初サラ.L.カサノバ代表取締役社長からも謝罪の言葉はなかった. 「マクドナルドも被害者だ」といわんばかりだ. 原因が特定できていなくても,まずは直接の当事者が謝罪するのが日本の文化だ. 補償するかどうかは,原因を調査してから後で検討すればよい.
サラ.L.カサノバ代表取締役社長はカナダ国籍で,カナダのゲルフ大学の食品管理学科を卒業する食品管理学のエキスパートだ. 1991年1月にマクドナルドカナダ入社し,2004年10月から日本マクドナルドの執行役員マーケティング本部長に就任(~2009年)した.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2016年4月2日時点).
その時代にメガマックやえびフィレオなどのヒット商品を企画したことから生みの親といわれている. その後,マクドナルドマレーシア・シンガポールに赴任し,2013年8月から日本マクドナルドの代表取締役社長として戻ってきていた. 日本の文化はかなり熟知していると思われるが,日本語はほとんどできず,日本にいないことも多かった.
マクドナルド異物混入事件は,さらに続く...続きを読む
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2014年10月29日時点).
原因は,日本のマクドナルド各店で起きた,たび重なる「マクドナルド異物混入事件」による売り上げ減による. では,「マクドナルド異物混入事件」とは,どのような事件だったのだろうか.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2016年3月26日時点). ▼2006年に大幅なリニューアルがおこなわれ,子どもだけでなく大人も利用しやすいデザインとした.
(事件1).2014年8月26日,大阪府河内長野市のマクドナルド外環河内長野店では,マックフライポテトに人の歯が混入していた. マクドナルド側は,歯に油の付着がなかったことから,揚げた後に混入したと考えられるとしていた. また,報告した客も店舗従業員全員にも,歯が抜けたような人はいなかった. また,「製造した米国マックフライポテトの工場はマスク着用義務があるので歯の混入はありえない」と説明していた. だが後日,「米国製造工場はマスク着用をしていなかった」と訂正した. マクドナルドは,製造現場をよく把握していなかった.
▼なぜかマックフライポテトに混入していた人の歯. ▼状況から,冷凍ポテトに入っていたものと思われる. ▼DNA調査をすれば,東洋人か西洋人かくらいはわかりそうだ.
(事件2).2014年12月19日,福島県のマクドナルド4号線郡山安積店にて,サンデー(アイスクリームにシロップやチョコレートや果物のソースをかけたもの)を食べた子どもが,口をケガした. ソフトクリームマシンの内部品が破損し,プラスチック片が混入したためだった.
▼月見バーガーに混入していたかなり大きい卵の殻(左). ▼マックマフィンに混入していた 1cm のナットで,前歯3本が欠けてしまった(右). ▼金属探知器を使えば容易に検知できるはずだったが,日本の大手製造工場では常識になっている機器は使っていなかった.
(事件4).2015年1月3日,青森県のマクドナルド三沢店のドライブスルーで購入したチキンマックナゲットの中に,薄い紐状の青いビニールのようなものが入っていた. 青いビニールのようなものは,ポリアセタール(POM樹脂)であることが確認されたが,チキンマックナゲット製造工場では利用していないことから,混入経路の特定はできなかった. だが,内部に入っていたことから,揚げる前に混入したのはあきらかだ. ポリアセタール(POM樹脂)の成形温度は190℃-210℃なので,190℃の油で揚げるチキンマックナゲットの中であれば,溶けずに残った可能性がある.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2016年3月31日時点).
これらの4件の異物混入事件に対して,2015年1月7日のマクドナルド社幹部が会見をおこなった. ここで「(自社ルールに照らして)対応については適切だと思っている」と謝罪しなかったことで,市民に不信感を抱かせてしまった.
また,原田泳幸元社長(現,ベネッセ社長)の後任として日本マクドナルド社CEOに就任したサラ.L.カサノバ代表取締役社長が,全面に出て説明しなかったことで,「会社としての危機認識がない」,「反省していない」,「問題を改善するつもりがない」,「逃げ回っている」と見られてしまった.
その後,テレビなどで釈明するが,当初サラ.L.カサノバ代表取締役社長からも謝罪の言葉はなかった. 「マクドナルドも被害者だ」といわんばかりだ. 原因が特定できていなくても,まずは直接の当事者が謝罪するのが日本の文化だ. 補償するかどうかは,原因を調査してから後で検討すればよい.
サラ.L.カサノバ代表取締役社長はカナダ国籍で,カナダのゲルフ大学の食品管理学科を卒業する食品管理学のエキスパートだ. 1991年1月にマクドナルドカナダ入社し,2004年10月から日本マクドナルドの執行役員マーケティング本部長に就任(~2009年)した.
▼千葉県船橋市若松1丁目のマクドナルド南船橋店(2016年4月2日時点).
その時代にメガマックやえびフィレオなどのヒット商品を企画したことから生みの親といわれている. その後,マクドナルドマレーシア・シンガポールに赴任し,2013年8月から日本マクドナルドの代表取締役社長として戻ってきていた. 日本の文化はかなり熟知していると思われるが,日本語はほとんどできず,日本にいないことも多かった.
マクドナルド異物混入事件は,さらに続く...続きを読む