世界で最初の自動販売機(自販機)は,紀元前215年ごろエジプトアレキサンドリアの科学者であるヘロンが考案した聖水自販機だと言われている. 硬貨を入れるとその重みで栓が開き一定時間水が出てくるという仕組みで,アレキサンドリアの寺院に置かれていた.
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日本初の自販機は,山口県下関市(馬関)の木工職人の俵屋高七(たわらやたかし)が1888年(明治21年)に考案したたばこ自販機(売下機/販売便器)だった. その後,1890年(明治23)に,東京の上野公園でおこなわれた第3回内国博覧会に,この煙草販売便器を出品し,農商務大臣賞を受ける. あまりにも巧妙な仕組みに「自動販売機の中に人が入っている」といった噂を流布されるほどだった.
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1886年(明治19年)ドイツのシンフォニオン社によりディスク型オルゴールが製品化された. コイン(硬貨)を入れると,自動で演奏が楽しめる営業用のディスク式オルゴールを生産し,パブやホテルのロビーなど人の多く集まる所に置かれた. レコード(蓄音機)式ジュークボックスの原型となるものだった.
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その後自販機は,日本で進化し世界一の設置台数になっている. 今,最新型の自販機のひとつが,JR東日本ウォータービジネスが設置している,次世代デジタルサイネージ型の自動販売機だ. 首都圏の主要駅を中心に約500台が設置されている. 従来の飲料系自販機には商品陳列棚があり,缶やペットボトル飲料の製品見本が展示されているが,この次世代機には商品見本や購入ボタンなどはいっさいない. 代わりに,47インチの大型ディスプレイがついていて,そこに商品見本が表示される. ディスプレイはタッチパネル式になっていて商品選択ボタンにもなる. また,デジタルサイネージとしてCMや天気予報なども表示される.
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自販機上部にカメラがついていて,購入者の性別や年齢層を識別できる. その情報をもとに,最大3つのオススメ商品などが提案される. この自販機の凄さは,それだけではない. これに,選んだ商品と季節や時間の情報を付加して,商品マーケティングに利用しているのだ. 飲料メーカが,喉から手が出るほど欲しいデータだ.
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この次世代デジタルサイネージ型の自動販売機を超える高機能ミュージックボックスが東京ディズニーリゾート(TDR)のイクスピアリに設置されていた.
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では,なにが凄いのか...続きを読む