群馬県内をクルマの運転をしていると,カーラジオをつけていないにもかかわらず,どこからか音楽が流れてくる不思議な場所がある. それも,一か所だけではない. 曲は,聞きなれた有名な童謡などだ.
ぐんまメロディーラインの「星に願いを」.
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それが,ぐんまメロディーラインだ. 群馬県内の観光地を中心に10箇所あり,日本全国に28箇所(2016年現在)ある. 特定の道路を走ると,道路とタイヤの間から音(音階)がでるのだ. 道路に細い溝が掘られていて,その上を一定の速度(制限速度)でクルマが走ることによりメロディーを奏でる.
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メロディーラインの目的は,観光地であることから,観光客などを楽しませる以外にも別の目的がある. それが,スピード抑制と居眠り防止だ. 音階は制限速度内でないとちょうどよいテンポにならないため,自然にクルマの速度が抑制される. また,タイヤから音がドライバーの聴覚に刺激を与えて眠気を吹き飛ばすというものだ.
ぐんまメロディーラインの「正調草津節」.
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道路に細い溝を掘る技術は,ハイドロプレーニング現象を対策するものとして生まれた. ハイドロプレーニング現象とは,急激な豪雨などにより道路とタイヤの間に水の膜ができ,クルマがスリップする現象を言う. これを防ぐために,道路に細い溝を何本も掘り,水はけをよくする. 1983年(昭和58年)ごろに,九州自動車道で初めて採用された.
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溝を掘ったエリアで大きな音が出ることから,これを利用してドライバーへ注意を促すことを考案する. 最初は音階はなく,太鼓のようにリズミカルに音が鳴る程度のものだった. 溝から溝までの距離を調整することによって,音階を変えることができるようになり,さらに溝そのものの幅を変えることにより,音量も調整できるようになった. 世界初のメロディロード(メロディーライン)が造られたは,2004年(平成16年)となる. 場所は北海道で「知床旅情」が流れた. 現在は,米国やロシアでも同じようなしくみが取り入れられている.
ぐんまメロディーラインの「チューリップ」.
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時速 40km で走行するクルマが1秒間に進む距離は約 11m となる. したがって,30秒程度の曲では全長約330mに溝を掘ることになる. 1秒間に440回振動すると音階の「」の音(440Hz)になる. つまり, 11m に幅 25mm 間隔で 440本の溝を掘ればよい. このようにして,道路にに音階を彫り刻んでいくとひとつの曲となる.
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この技術は,群馬県前橋市の末広産業(株)が音響道路として特許取得(PAT-3913761)をしている. 群馬県内にメロディーラインが多いのも末広産業が群馬県の企業であることによる.
ぐんまメロディーラインの千と千尋の神隠しの主題歌「いつも何度でも」.
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メロディーラインを造るのにグループカッテングできる機械を使うが,1曲あたり約 1900万円ほどかかる. クルマによる死亡事故が1件でも減れば,1900万円も安いかもしれないが,どのくらい効果があるのかは計測しにくい.
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イギリスの民間放送局IITN(Independent Television News)がこの日本のメロディーラインをニュースとして取り上げた. この番組が Youtube 動画に投稿され,海外からも色いろなコメントが書かれている...
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「日本はとてもクールなことをしている」. 「大好きです!とてもクール!」. 「何で日本って楽しいもの思いつくの」. 「日本がどれだけ特別な国かを表してるよね」. 「マイケル・ジャクソンの曲でこんな道を作って欲しい」. 「ダースベーダーのテーマ曲だったら最高だろうな」. 「世界が意味もなく争っている時に,日本はこんなに美しいものを作ってるんだな」などだ. このように,観光資源的効果も高い.
<ぐんまメロディーライン一覧>
ぐんまメロディーラインの「星に願いを」.
県立ぐんま天文台に向かう主要地方道渋川下新田線のぐんまメロディーラインでは,長編アニメーション映画「ピノキオ」の主題歌の「星に願いを」が流れる. 県立ぐんま天文台と美しい星空を守る「光環境条例」を制定している高山村から選曲された.

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ぐんまメロディーラインの「正調草津節」.
国道292号を大津から草津方面へ進んだ道の駅手前約500mの所のぐんまメロディーラインは,民謡「“草津よいとこ一度はおいで(ハドッコイショ)お湯の中にもコリャ花が咲くョ(チョイナチョイナ)”」の「正調草津節」が流れる.

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ぐんまメロディーラインの「チューリップ」.
群馬県畜産試験場から国道353号を道の駅ぐりーんふらわー牧場・大胡へ向かう所のぐんまメロディーラインは「チューリップ」が流れる. この曲は前橋市(芳賀村)出身の唱歌や童謡を数多く作曲した井上武士が作った.

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ぐんまメロディーラインの千と千尋の神隠しの主題歌「いつも何度でも」.
中之条町の四万温泉に向かう国道353号の所のぐんまメロディーラインは長編アニメーション映画「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」が流れる. 四万温泉には,この映画の「油屋」がイメージモデルとなったと言われている老舗旅館がある.

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その他には...
国道291号みなかみ町の「四季の歌」
国道291号の湯檜曽公園から谷川岳に向かうところのぐんまメロディーラインは,「四季の歌」が流れる. 群馬県には,水上温泉など19を数える温泉郷があり,四季折々の風景が楽しめる.
国道122号桐生市~みどり市の「うさぎとかめ」
国道122号の道の駅くろほね・やまびこからを富弘美術館へ向う所のぐんまメロディーラインは,童謡「うさぎとかめ」が流れる. この曲の作詞者は,みどり市出身の童謡作詞家石原和三郎の曲となっている.
主要地方道渋川松井田線高崎市の「静かな湖畔」
主要地方道渋川松井田線を伊香保温泉から榛名山に向かった榛名湖の手前の所のぐんまメロディーラインは,「静かな湖畔」が流れる. 静かな榛名湖の湖畔をイメージして選曲された.
国道462号神流町の「こいのぼり」
神流川ぞい国道462号の所のぐんまメロディーラインは「鯉のぼり祭り」が流れる. 五月の神流川上空には800尾もの鯉のぼりが泳ぐ.
主要地方道東御嬬恋線嬬恋村の「雪山讃歌」
旧鹿沢温泉から主要地方道東御嬬恋線を新鹿沢温泉に向かう所のぐんまメロディーラインは「雪山讃歌」が流れる. 第一次南極越冬隊長だった西堀栄三郎ら京大の学生たちがスキー合宿で鹿沢温泉を訪れたときに,山岳部の歌として「クレメンタイン」に歌詞を付けた.
国道299号上野村の「うれしいひなまつり」
国道299号の上野村の所のぐんまメロディーラインは,「うれしいひなまつり」が流れる. 上野村乙父地区のひなまつりの「おひながゆ」にちなんで選曲された.
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