東京都心から50km-70kmの範囲内にある1都3県を東京都市圏(東京圏)という. この東京都市圏には,約 3650万人が暮らし,世界最大のメガシティー(巨大都市圏)となっている. カナダ(3401万人)の全人口よりも多い. この東京都市圏で,大規模地震が予測されている.
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北米プレート(地殻)とフィリピン海プレートとの境界でおきるとされている東京湾北部地震(M7.3,地下20km-30km)を始め,北米プレート内の比較的浅い浅い地震(地下10km程度)としての都心西部直下地震(M6.9),都心東部直下地震(M6.9),さいたま市直下地震(M6.9),千葉市直下地震(M6.9),川崎市直下地震(M6.9),横浜市直下地震(M6.9),立川市直下地震(M6.9),羽田直下地震(M6.9),三浦断層群地震(M7.2)などが想定されている.
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特に,東京湾北部地震(M7.3)が最大規模の地震となることが想定(内閣府想定)されていている. 最悪のシナリオである冬の夕方 18:00, 風速15m/sの場合, 死者数 1万3000人,負傷者 21万人,建物全壊約 85万棟,避難者約 700万人(内千葉県が約 130万人),避難所生活者数約460万人(内千葉県が約 87万人),疎開者数約250万人(内千葉県が約 47万人),帰宅困難者約 650万人と予想されている. 死者数 1万3000人のほとんどが東京都内で,火災(6200人)と建物倒壊(3100人)によるものとなっている.
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東京特別23区の昼と夜の人口差は大きい. 夜間の人口が 878万人に対して,昼間の人口は 1184万人(2015年)にもなる. 東京特別23区への流入人口は,東京都内の周辺市(多摩市や立川市など)から 53万人,県境を越えて千葉県から 70万人, 埼玉県から 82万人神奈川県から 88万人などと,鉄道などの公共交通機関を使って通勤通学している.
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首都直下地震が起きた場合,鉄道などの耐震化はほぼ終了しているものの,周辺の地滑りや軌道の変形,橋梁の破損,点検などで全面的に機能停止に陥り,暫定的な運転再開までには,少なくても数日から約1カ月を要することが想定される. 東京特別23区帰宅困難者(帰宅難民)だけでも約 350万人(内20歳-59歳の業務目的の滞留者は約 250万人)となることが想定されている. 1都3県の帰宅困難者の総計は約 650万人にもなる. この帰宅困難者の計算方法は,自宅までの距離が 10km 以内の通勤通学者は全員徒歩で帰宅可能とし,自宅までの距離が 10km-20km まで 1km 長くなるご とに帰宅可能者が 10%づつ低減,自宅までの距離が 20km を超えると 100% 帰宅困難者として集計している.
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この帰宅困難者約350万人の安全をどう守り,と飲食料をどう確保するのかが課題となる. また,膨大な数の帰宅困難者が一斉に自宅に動き始めると鉄道駅舎周辺や路上に帰宅困難者があふれ,応急対策活動の妨げとなる. 帰宅路の一部では,市街地が大火になっていることもありえる. 国や地方自治体は,帰宅困難者を勤務先のビルや学校などに一定期間の収容し,「むやみに移動を開始しない(させない)」ことを考えている.
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たて続けておきる余震などによって不安となり,反射的に「帰宅したい」という行動をとってしまう. また,幼い子どもや高齢者なども心配だろう. 安否確認できていて,関係者によって飲食や寝る所も確保されていれば,余震がある程度収まってから安全に帰宅行動すればよい.
東京都港区立芝公園のマンホールタイプの災害用トイレ.
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企業の場合,正規や非正規雇用の形態に問わず,事業所内で勤務する全従業員が施設内に留まれるよう,3日分の水や食料などを備蓄することを努力義務としている. 3日分の備蓄量の目安は,水は1人当たり1日3L計9L,主食(アルファ化米,クラッカー,乾パンなど)については,1人当たり1日3食計9食,毛布を1人当たり1枚となる. その他にも,簡易トイレやトイレットペーパなどの備蓄も必要となる...
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各自宅においても,家庭内備蓄が必要となる. 地震直後,スーパーマーケットやコンビニエンスストアの商品は,数時間で無くなる. 初期段階での自治体の公的備蓄はあまり期待しない方がよい. すくなくても3日間,自力で生活できれば,なんらかの形で公的支援物資が届く. 東京湾岸域の低地では,道路の水没などを考慮して,1週間分の備蓄をした方がよいかもしれない.
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学校などの公共施設の耐震化はほぼ終わりつつあるものの,下水道の耐震対策はまだまだだ. 民間のビジネスビルにおいては,耐震診断されていても,まだ耐震工事に着手できていないことも多い. 首都直下地震時には,倒壊していなくても入出禁止になることもある. これらの帰宅困難者(帰宅難民)を受け入れるのが,近郊の公共施設や公園となる.
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特に,トイレは重要だ. 断水時には,ほとんどのビルでトイレが利用できなくなる. 東京都や周辺自治体では,常設の災害時トイレの準備を進めている. 下水道が機能していれば水洗トイレとして使え,下水道が機能していなければ,くみ取り式トイレとなる. 汚物は地下にある耐震性ピットや便槽(タンク)に溜められる.
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