日本への訪日外客総数(インバンウンド総数)は,2015年(1月-12月)で 1974万人と年ねん増え続け,格安航空会社(LCC)の普及効果もあり,2016年の訪日外客総数は 2400万人(約21%増)を超える見込みだ. 政府は,東京オリンピックを開催する 2020年には 4000万人にまで増やす計画だ.
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その訪日外人(2015年)の内訳を見ると,中国が 499万人, 韓国 400万人, 台湾 367人,香港 152万人, 欧州計 124万人, 北米計 131万人と,高い経済成長に支えられたアジア圏(約79%)からの訪日が,ほとんどとなっている. 「隣国韓国と日本との最近の関係は戦後最悪」と言われながらも,韓国からの訪日数は減っていない.
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その訪日観光客のほとんどが,首都東京を訪れる. かつて,国際線は成田国際空港(千葉県成田市),国内線は羽田空港(東京都大田区)という棲み分けがなされてきたが,羽田空港の国際線化によって,羽田空港が東京の玄関口となっている.
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全世界の空港ランキング(国際空港評議会調べ)では,1位は米国アトランタ国際空港≪ATL≫で単年度で1億人(1億0149万)を超える. 2位は中国の北京首都国際空港≪PEK≫で 8993万人. 3位はアラブ首長国連邦のドバイ国際空港≪ATL≫ 7801万人. 4位は米国のシカゴオヘア国際空港≪ORD≫ 7694万人. 5位は日本の羽田空港≪HND≫の 7531万人で,成田国際空港≪NRT≫は,旅客数ベスト20にも入っていない.
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そのような羽田空港≪HND≫だが,2016年5月27日(金)に旅客機のエンジン部から出火する重大事故が発生した. 2016年5月26日(木)-27日(金)の日程で伊勢志摩サミット(G7主要国首脳会議)が三重県で開催されていたこともあり,「もしやテロなのか」といった憶測も流れた.
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エンジン部から出火したのは,羽田空港≪HND≫発ソウル金浦国際空港(キンポ)≪GMP≫行きの大韓航空2708便で,第2ターミナルC滑走路(全長は3360m)から飛び立とうとして滑走していたボーイング777-300型機(HL7534)の左側第1エンジンから火と煙が出た. 飛行機は緊急停止をし.乗客301人,乗員17人の合計318人がシューター(滑り台)を使って緊急脱出をしたものだ.
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この事故の影響で,羽田空港C滑走路を含め4本全ての滑走路の離着陸が一時的に封鎖され,多くの便に影響が出た. 羽田空港へ着陸予定だった飛行機は,上空で旋回して時間調整をした後,成田空港などへ行き先を変更することになる. 消防が消火にあたり,13:10 に消火活動を終えた.
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乗客の話によると,離陸のために飛行機が滑走を始め,600mほど進んだところで「ボン」という破裂音とともにエンジンから火柱が噴き出した. 離陸中断(Reject Take-Off)し,さらにそこから 700mほど進んで停止をする. 滑走 600m 付近には,エンジン部品が散乱していた. あと10秒ほど遅ければ,離陸を停止することはできず(海に落ちてしまうため),飛び上がってから緊急着陸となるところだった. ボーイング777のエンジンは双発(2つ)だが,1基あたりの出力が大きいため,片側だけのエンジンだけでも離着陸は技術的には可能となっている. だが,高度が取れていない状態で,安全に着陸できたのかは未知数だ. ベテランのパイロットであっても難しい.
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ジェットエンジンのエアインテーク(空気吸入口)に鳥が吸い込まれるバードストライク事故はよく発生する. しかし,その程度でエンジンの停止や爆発をすることはない. 今回の場合,エンジンの1段目の耐熱合金の「タービンブレード」というプロペラ状の部品には傷がなく,エンジン内部からも鳥などの死骸の痕跡は見つかっていない. 状況から推測して,高速で回転するターボ・ファン・エンジンの2段目か3段目のタービンブレードの一部が折れて飛び散り,エンジンを突き破って燃料パイプなどを損傷させて燃料モレをおこしたものと思われる.
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実は,このボーイング777でタービンブレードが折れるという事故が過去に何度も起きていた...
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現在主力のボーイング777-300ER型(773B) のエンジンは,原則ゼネラル・エレクトリック社製のものだけとなっているが,前モデルのボーイング777-300(773A) や前前モデルのボーイング777-200のエンジンは,プラット・アンド・ホイットニー社,ゼネラル・エレクトリック社,ロールス・ロイス社の3メーカーから選択できるエンジン選択制となっていた. 今回の大韓航空は,プラット・アンド・ホイットニー社製の PW4000 シリーズのエンジンを使っていた.
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PW4000 シリーズのエンジンは,過去に異常とも言える頻度でトラブルを連発させていた. 全日空≪ANA≫と日本航空≪JAL≫でも,ボーイング777プラット・アンド・ホイットニー社製のエンジン PW4000 シリーズのエンジンを使っている. 全日空≪ANA≫では,わずか5カ月の間にシビアなエンジントラブルが連続で6件も発生し,この中には飛行中にエンジン停止(IFSD)するトラブル4件が含まれていた. さらに,日本航空≪JAL≫でもブレード欠損に起因するエンジントラブルが2件発生していた.
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全日空≪ANA≫がエンジンを調査したところ,タービンの2段目のタービンブレードの製造段階での洗浄が不十分で,メッキ液が残ったまま取り付けられていることを見つけた. エンジンの高温でブレードが硫化腐食し,これが原因で運航中に破損していたことが分かった. 2005年12月のことだった.
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プラット・アンド・ホイットニー社もしぶしぶ製造ミスを認め,全日空≪ANA≫は問題のあるエンジン42基を約52億円の費用をかけて全てのブレードを交換し,日本航空≪JAL≫のエンジン39基も約43億円をかけて全てのブレードを交換した. これは,2003年12月以前に製造されたエンジンが対象となり,日本の航空会社では,全て対策済みとなっている.
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日本以外のボーイング777プラット・アンド・ホイットニー社製 PW4000 シリーズのエンジンを使用して運航しているのは,ユナイテッド航空(米国),エジプト航空,そしてアシアナ航空(韓国)と大韓航空などとなる. 他の航空会社がどう対応したのかが公表されていないので現在の状況が不明だが,当然対策済みと思われる. もし対策が不十分のエンジンが残っていたのであれば,同じ原因でタービンブレードが破損した可能性がある. 事故を起こしたボーイング777の機体は1999年に導入し,出火したエンジンは1年6カ月前に交換(おそらく中古)していた. 推測となるが,このエンジン交換で,未対策のエンジンを誤って取り付けてしまったのではないだろうか. 過去の問題と同じ原因であれば,タービンブレードの腐食によって,強度が限界になっていた時期と重なる.
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今回の大韓航空機の事故の問題はそれだけではない. 大韓航空側の「ありえない対応」が指摘されている. 複数の乗客から,「適切な避難指導がされていなかった」と証言している. 左翼から白煙が出ている状況にも関わらず,搭乗していた乗客が撮影した映像には,「ただいまもう1度離陸の許可を待っております,しばらくお待ちください」と非難を止めるようなアナウンスが流れている. その際,乗客からは絶望に近い叫び声が上がっている. この時点で機長はなぜアラームが鳴っているのかを正確に把握していなかったばかりか,客室乗務員との連携も密に取っていなかったものと思われる.
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また,緊急脱出用シューター(滑り台)で機外へ避難するときに,20代-70代の男女19人が打撲などのけがをし,腰を打つなどした12人が救急搬送された. 当時は風が強く,小雨も降っていた. この雨によって,シューターが滑り過ぎ,想定以上のスピードが出てしまったようだ. 日本の常識で考えれば,19名の乗務員内の何人かが先に降り,下で乗客を受け止めるといった作業をすべきだ.
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この件に対して大韓航空側の説明は,「(わが社の)マニュアルでは,先に降りた乗客が次の乗客を受け止めることになっている」ことを理由に問題ないとしている. しかし,いつ機体が爆発するのかわからに状況下において,このようなボランティア的活動が成り立つだろうか. どうみてもマニュアルが間違っているようにしか思えない.
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乗客のほとんどが韓国系外国人だったが,かなりの乗客がキャリーケースなど荷物を持ったまま避難をしている. 日本のマニュアルでは,荷物を置いて避難することになっている. 荷物を持ったまま逃げると,その荷物によって先に滑った人を傷つけてしまうことと,質量が大きいほど,停止も難しくなることなどの問題がある. キャリーケースのキャスタなどで風船のように膨らんだシューターが切り刻まれてしまう可能性もある. 一度空気が抜けてしまうと,そのシューターは使えなくなり,避難時間がさらに長くなってしまう. 日本を除く東アジア圏全般に「自分さえ良ければいい」という気質があるためだろうか.
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また,火災がおきているエンジン側の緊急脱出用シューター(滑り台)を展開していいた. 一般的に,火災の起きている側のドアは開けない. 必ず火災とは反対側のドアだけで避難する. 世界各国の航空会社では,「火が出ていない側から脱出させること」がほぼ共通のルールとして設けられている. 大韓航空側の説明は,「(そもそも)火災ではなく,火花が発生した」と苦しい説明をしている. 今回の大韓航空機の副機長も,自身のフェイスブックで「完璧な緊急脱出だった」と自画自賛している.
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ドイツのJACDECによる「世界の航空会社の安全度ランキング2016」で, 9位に日本航空≪JAL≫, 15位に全日空≪ANA≫が入っているが,55位が大韓航空≪KAL≫となっている. 実は下から数えたほうが早い航空会社のひとつで,「安全な航空会社ワースト10(安全が低い)」で, 6位に大韓航空≪KAL≫が入っている.
大韓航空のナッツ姫ことチョ・ヒョナ(趙顕娥).
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大韓航空は,あの「ナッツ姫(チョ・ヒョナ副社長)」の航空会社となるが,会社そのものに体質的な問題があるのかもしれない. 今回の事故の正しい調査結果と対策が出るまでは,大韓航空を選ばない方がよいかもしれない.
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