船橋市の西船橋駅から八千代市の東葉勝田台駅までの東葉高速鉄道東葉高速線は,1996年(平成8年)4月27日(土)に開業し,2016年(平成28年)4月27日で開業20周年を迎えた. この間,船橋市や八千代市,その周辺都市の通勤,通学,買い物の足として,運転無事故の記録を継続している.
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開業20周年記念を迎えるにあたり,「地域とともに20年,未来につなぐ感謝の心」をキャッチフレーズに,各種イベントや20周年記念きっぷの販売,20周年記念ヘッドマークとラッピング車の運行(2016年4月16日-5月15日)などを企画し実施している.
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東葉高速線は,西船橋駅≪駅ナンバリング:TR01≫から八千代市の東葉勝田台駅≪TR09≫までの 16.2km の路線で,途中8つの駅がある. 北習志野駅≪TR04≫では,新京成線北習志野駅≪SL19≫と接続している.
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東葉高速線の駅平均間隔は 2km だが,船橋市の東海神駅≪TR02≫と飯山満駅≪TR03≫間だけは 4.0km あり,ほぼ中間点になる場所(千葉県船橋市米ケ崎町あたり)に新駅(東葉船橋中央駅か?)の設置計画がある. 新駅近くは,33年前(1983年)に開設された船橋市立医療センターの建てかえ先候補地にもなっている.
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東葉高速線は,東京メトロ(旧,帝都高速度交通営団)東西線(東京地下鉄5号線)と直通運転(相互乗り入れ)をおこなっている. 当初は,東西線の延伸路線として計画され,営団勝田台線とも言われていた.
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もともとは,都営地下鉄新宿線(東京地下鉄10号線)の路線(1973年免許取得,1989年開業)の市川市の本八幡駅≪S21≫の延伸路線として,船橋市の行田団地を経由し,新京成線習志野駅≪SL20≫を経由して,八千代市の萱田(かやだ)方面へ向かうの路線だっだ.
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東京都心の西に多摩ニュータウン計画(計画人口 34万人)が1964年に立ち上がり,さらに東に千葉ニュータウン計画(当初の計画人口 34万人)が1966年に立ち上がる. 同じころ,新国際空港(現,成田国際空港)計画が1962年に閣議決定していた.
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東京都心から新国際空港まではまでは約 60km にもなることから,東京駅(現在の京葉線ホーム)から東西線と並行しながら千葉県浦安市,市川市行徳地区を通過(この区間は高架橋)し,船橋市の行田団地(この区間は地下だったものと思われる)をかすめながら新鎌ヶ谷駅西側付近を通過,千葉ニュータウンを経由して新国際空港まで接続する空港連絡新線が計画される. これが,幻の成田新幹線だった...
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1974年(昭和49年)には,通過地域の住民との十分な調整がないまま,成田新幹線の中で最も工期の長い東京駅と新国際空港駅で工事の見切り発車をする. 時速 250kmを超える速度で通過する市川市行徳地区の住民などから猛反発され,1983年には工事は凍結せざるをえなくなる. 中核派などによる成田闘争(三里塚闘争)問題もあり,住民からの声を無視して強制的に工事を進めるようなことはできなかった. 結局,1986年に正式に中止を決定する.
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途中まで工事が進んでいた成田新幹線東京駅ホーム予定地は,JR京葉線の東京駅ホームに転用される. 千葉ニュータウンの成田新幹線路線予定地は北総公団線(現,北総線)に転用される.
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一方,千葉ニュータウンの交通利便性を向上させるため,都営新宿線の延伸先は,千葉県営鉄道北千葉線(1973年10月に免許交付)への接続に変更される. 新京成線,東武野田線,北総線の新鎌ヶ谷駅≪SL11,TD30,HS08≫を経由して,千葉ニュータウン(現在の北総線印旛日本医大駅あたりまで)へ接続する路線だった.
北習志野駅≪TR04≫でおこなわれた,子ども向けの20周年イベント.
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だが,千葉ニュータウン計画が縮小された(計画人口14万3300人,2015年11月末時点で実人口は9万4397人)こと,北総線の線路幅(軌間)が合わないため相互乗り入れが困難だったことから,この北千葉線の計画は消滅(正式には2013年に廃案)してしまう. 一方,中に浮いた格好となってしまった船橋市習志野-八千代市萱田方面の新路線は,営団東西線の延伸路線として,ふたたび浮上しすることになる.
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だが,京成本線の短絡線(近道)となる東葉高速線が,東京メトロの距離単価と同一の価格で運営されてしまうと,京成本線の客がと奪われてしまう. 当時京成電鉄は,成田国際空港の大幅な遅れと,不動産投資の失敗から多額の負債を抱えていて経営危機となっていた. 西武電鉄への身売りの話しが出るほどだった. 一方,東西線などを運営する東京メトロの株主は,東京都(46.6%)と国だ. 財政規律の観点から,路線区域は特別区である東京23区内を原則としている. 東西線が東京メトロとして千葉県の西船橋駅まで建設したのは,総武線のバイパス線という公共性の高さから例外扱いとした.
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結局,東葉高速鉄道第三セクター方式で建設することになる. 千葉県が 32.8%を出資する筆頭株主となり, 船橋市 24.9%, 八千代市 22.2%, 東京地下鉄(東京メトロ) 12.7%,京成電鉄 2.1%, 東武鉄道 0.7%, 新京成電鉄 0.7%,その他銀行などが株主となっている. 東京メトロ南北線の延伸も,埼玉高速鉄道を第三セクター方式で建設運営し,埼玉県が筆頭株主(約46%)となっている.
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