船橋市などで,2016年6月23日早朝ごろから「トンボが大量に発生している」と,電子掲示板やツイッターなどで書き込みが急増した. 同じような報告は,市川市や柏市,佐倉市,成田市などでも報告が出ている.
トンボの大量発生事態は珍しいことではない. かつて,秋になるとトンボの大群は毎年のように起きていた. そのほとんどが,群で活動することが多いアキアカネだ. 通称赤トンボといわれるトンボだ.
今回のトンボの姿を見ると,オレンジ色(橙色)がほとんど. 赤トンボ特有の赤色ではない. トンボは,流れが緩やかな川や沼,学校のプールなどで幼虫であるヤゴ(水蠆)が育つ. 6月から7月にかけて羽化しトンボの成虫になる. 羽化したばかりの未成熟のころは,オレンジ色(橙色)で,交尾や産卵の生殖時期になるころに真っ赤なトンボになる.
一般的に,赤トンボと呼ばれているトンボで,成虫になった時期や大きさ,ハネの模様などからアキアカネまたはナツアカネではないかと思われる. 昆虫図鑑を片手に観察しても,アキアカネとナツアカネの判別は素人には難しい.
多くの赤トンボ(アカネ属)は,秋に産卵して卵で冬を越し,春にふ化(孵化)して初夏にう化(羽化)する. 1年で1世代となる. アキアカネとナツアカネの生息の仕方は異なる. アキアカネは,6月ごろ平地でう化(幼虫から成虫)し,すぐに山地などの涼しいところに移動する. 30km から 50km も移動することもある. そして涼しくなる秋に,元の平地に戻ってくる. ナツアカネも6月ごろう化するが,夏でも涼しいところには移動しない習性がある.
また,アキアカネは,水がないと産卵できないが,ナツアカネは乾いた田んぼなどに空中から産卵するといわれている. では今回のトンボは,どこからやってきたのだろうか. また,なぜ大量発生したのだろうか...
トンボの大量発生事態は珍しいことではない. かつて,秋になるとトンボの大群は毎年のように起きていた. そのほとんどが,群で活動することが多いアキアカネだ. 通称赤トンボといわれるトンボだ.
今回のトンボの姿を見ると,オレンジ色(橙色)がほとんど. 赤トンボ特有の赤色ではない. トンボは,流れが緩やかな川や沼,学校のプールなどで幼虫であるヤゴ(水蠆)が育つ. 6月から7月にかけて羽化しトンボの成虫になる. 羽化したばかりの未成熟のころは,オレンジ色(橙色)で,交尾や産卵の生殖時期になるころに真っ赤なトンボになる.
一般的に,赤トンボと呼ばれているトンボで,成虫になった時期や大きさ,ハネの模様などからアキアカネまたはナツアカネではないかと思われる. 昆虫図鑑を片手に観察しても,アキアカネとナツアカネの判別は素人には難しい.
多くの赤トンボ(アカネ属)は,秋に産卵して卵で冬を越し,春にふ化(孵化)して初夏にう化(羽化)する. 1年で1世代となる. アキアカネとナツアカネの生息の仕方は異なる. アキアカネは,6月ごろ平地でう化(幼虫から成虫)し,すぐに山地などの涼しいところに移動する. 30km から 50km も移動することもある. そして涼しくなる秋に,元の平地に戻ってくる. ナツアカネも6月ごろう化するが,夏でも涼しいところには移動しない習性がある.
また,アキアカネは,水がないと産卵できないが,ナツアカネは乾いた田んぼなどに空中から産卵するといわれている. では今回のトンボは,どこからやってきたのだろうか. また,なぜ大量発生したのだろうか...
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まず,トンボの種類はなんなのか.
千葉県で最も高い山は南房総市の愛宕山(あたごやま)で 408m しかない. 高度が100mごとに気温は約 0.6度下がるので,平地とは 2.4度の差しかない. 日中の気温が20度-25度ていどの涼しい場所を好むアキアカネではなく,ナツアカネではないかと思われる. 船橋近辺には夏にアキアカネが生息する避暑地はない. しかも,船橋から愛宕山までの直線距離は 66kmもある.
ナツアカネであれば,船橋のトンボは他の地域から飛んできたのではなく,二級河川である海老川やその支川となる長津川や飯山満川などでふ化したものと思われる.
トンボの大発生をする前に,幼虫となるヤゴの大発生をしているはずだ. ヤゴのエサは,ミジンコやアカムシ,イトミミズ,ボウフラ,オタマジャクシ,メダカなどになる. 近年,外来種のアカミミガメによってヤゴが食われトンボが激減して蚊が大量発生することもあった. なんらかの理由で,このような外敵が少なかった可能性がある.
また,各地で台風が過ぎ去った後に,トンボやチョウ,ショウジョウバエが大量発生したということがネットに報告されている. トンボと気象に関する古い言い伝えは各地にある. 「二っ八とんぼ風」(2月は突発的な季節風が最も強く,8月には台風がある). 「トンボが大量発生したら台風が来る」. 「トンボが家の内に入ると台風が吹く」. 「トンボが群がってたくさん飛んでいると大風になる」. 「トンボが乱れ飛ぶと台風の兆し」などだ.
さらに,「赤トンボが異常に多く群れる時はその冬地震がある」,「見慣れぬ虫が異常発生するときはその年に地震がある」といった言い伝えから大地震説まで出ている. 今年(2016年)は,台風1号(ニパルタック)が発生したのは2016年7月1日で,台湾の台東県太麻里郷に上陸して死者3名など多数の負傷者を出した. だが日本への上陸はなかった. 「台風とトンボの伝説」には関係なさそうだ.
ただし,梅雨前線上の低気圧が九州から関東を通過し,2016年6月23日昼ごろまで東日本は雨となっている. これと,トンボのう化の時期が重なり,同じ時間帯に大量に発生したのかもしれない.
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ナツアカネであれば,船橋のトンボは他の地域から飛んできたのではなく,二級河川である海老川やその支川となる長津川や飯山満川などでふ化したものと思われる.
トンボの大発生をする前に,幼虫となるヤゴの大発生をしているはずだ. ヤゴのエサは,ミジンコやアカムシ,イトミミズ,ボウフラ,オタマジャクシ,メダカなどになる. 近年,外来種のアカミミガメによってヤゴが食われトンボが激減して蚊が大量発生することもあった. なんらかの理由で,このような外敵が少なかった可能性がある.
また,各地で台風が過ぎ去った後に,トンボやチョウ,ショウジョウバエが大量発生したということがネットに報告されている. トンボと気象に関する古い言い伝えは各地にある. 「二っ八とんぼ風」(2月は突発的な季節風が最も強く,8月には台風がある). 「トンボが大量発生したら台風が来る」. 「トンボが家の内に入ると台風が吹く」. 「トンボが群がってたくさん飛んでいると大風になる」. 「トンボが乱れ飛ぶと台風の兆し」などだ.
さらに,「赤トンボが異常に多く群れる時はその冬地震がある」,「見慣れぬ虫が異常発生するときはその年に地震がある」といった言い伝えから大地震説まで出ている. 今年(2016年)は,台風1号(ニパルタック)が発生したのは2016年7月1日で,台湾の台東県太麻里郷に上陸して死者3名など多数の負傷者を出した. だが日本への上陸はなかった. 「台風とトンボの伝説」には関係なさそうだ.
ただし,梅雨前線上の低気圧が九州から関東を通過し,2016年6月23日昼ごろまで東日本は雨となっている. これと,トンボのう化の時期が重なり,同じ時間帯に大量に発生したのかもしれない.
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