毎年,11月の立冬(りっとう)のころ(2015年は11月8日)になると,庭園や公園などの松の木に,地面から 1m ほどの高さの場所にワラを巻く. 古くからおこなわれているコモ巻き(ワラ巻き)だ. マコモ(真菰/ハナガツミ)織ったムシロ(筵)をコモ(菰)といい,これを松の木に巻いている. 近年は,コモが手に入らないため,イネワラ(稲藁)を使っている.
習志野市秋津1丁目の松の木のコモ巻き
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コモ巻きは,松の木の害虫マツカレハというガ(蛾)の幼虫マツケムシ(松毛虫)の駆除のためにおこなわれる古い方法となる. マツケムシは寒くなる11月の「立冬」のころ,樹幹を降りて,樹皮の割れ目や落葉の下で越冬する.
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その習性を利用して,あえて冬ごもりし易い環境をコモ巻きで作り,2月中にコモ巻きごと丸焼きにしてしまう. 上下2箇所にコモ巻きをおこなう場合は,上は虫が入りやすいように弱く縛り,下は虫が落ち葉へいかないように硬くしばりつける.
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だが,このコモ巻きの効果に疑問を投げかけた研究論文が発表された...
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コモ巻きを使った駆除の効果を検証した研究で,兵庫県立大学(旧,姫路工業大学)環境人間学部が,2002年から5年間かけて姫路城で調査を行った.
東京都葛西臨海公園内の松の木のコモ巻き
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3月に外したコモ巻きの昆虫を調べたところ,採集生物数が最も多かった2004年の数値では,採集生物数1577匹の内,マツ(松)を枯らすマツケムシ(松毛虫)の幼虫は6匹だけだった. ほとんどが,害虫を食べてくれるクモやヤニサシガメなどの益虫だった. この調査の結果,「コモ巻き方式害虫駆除の効果はほとんど無く,むしろ逆効果である」と結論ずけた.
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姫路城では,2008年ごろから薬剤を使った駆除で様子を見たところ,こちらの方が害虫駆除の効果が高かった. 実は,皇居外苑や京都御苑では,すでに20年以上も前からコモ巻きは行われておらず,浜松市も2007年から中止している. このコモ巻きのコストもばかにならない. 姫路城のクロマツ約350本のコモ巻きの例では,職員13人が1週間ほどかけておこなっていた.

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