
オートレース発祥の地,
船橋オートレース場の廃止が決まった.


2014年8月12日(火),千葉県と
船橋市(松戸徹船橋市長)は,「公営競技の
船橋オートレース事業を2015年度末(2016年3月末)で(完全)廃止する」と正式に発表した.

入場者数減少や車券売上額減少が今後も続くことと,今後約14億円の設備投資が必要となることを
廃止の理由とした.


1950年(昭和25年)10月29日,全国で初めて千葉県の主催で第1回
オートレース(千葉県が運営)が
船橋競馬場を使って開催された(船橋市は1955年3月18日から).

当時の
船橋市は,まだ10万程度の人口しかなかったころだ.

船橋市は,今年(2015年)で 62万5000人の人口になったが,
船橋オートレースは新たな客を開拓できず,65年で幕を閉じることになる.
船橋開催のオートレースも,あと10回ほど(8月時点)で終える.

船橋オートレース場の
廃止に対して,地域住民からの擁護の声はほとんど聞かれない.

「
オートレースの
騒音および
排気ガスなどの陳情」が出されても,船橋市は「前例がないとできない」ことを理由に「今後研究する」にとどまっていた.

騒音規制法では,騒音を規制基準内にしなければない.

規制基準は,場所や時間によって異なり,商業地域や
準工業地域(第3種区域)では 65デシベル(日中)以下にしなければならない.


だが,
レース車両(バイク)の騒音レベルは100デシベル以上で,8台同時に走行する
オートレースでは 120デシベルを超える騒音が発生している.

120デシベルは,ジェットエンジンの騒音に相当する.

バイクの騒音は,遠く
船橋市役所まで届く.

とても,騒音規制基準を遵守している状況ではなかった.

F1 を頂点とする
フォーミュラレース(自動車競技)も,騒音問題の解決方法として,電気自動車を使った
フォーミュラEを2014年から開催している.

レースが,大都市や有名リゾート地の市街地コースを使って行うため,騒音対策として生まれた新しいレースだ.
オートレースも,
オートレースEとし,60デシベル以下におさえれば,
ナイターレース(夜間営業)もできたのかもしれない.

だが,オートレースファンの間では,「消音機(マフラー)無しの爆音がオートの魅力」という声も根強い.


2015 年度末(2016年3月末)で
公営オートレース事業が正式に
廃止することが決定したわけだが,
廃止にあたってどのような影響があるのだろうか.
公営オートレース事業の主催は千葉県と
船橋市だが,土地は
三井不動産(株)(前,朝日土地興業),建物などの施設は
よみうりランド(株)の所有になっている.


売り上げの4.8%(以前は6%)が,土地所有会社や施設所有会社などに支払う.

内訳は,賃貸料として
三井不動産に 1.175%(年間約2億円),施設利用料や常駐社員の給料,総務,人事,経理,財務管理費用として
よみうりランドに 3.625%(年間約7億円)となっている.

いずれも固定額ではなく,売上に連動する.

売上が減れば,賃貸料や施設利用料は減額になる.

船橋オートレース場が廃止された場合,
船橋市の負担はどうなるのだろうか.

施設会社の常駐社員についても,船橋市との直接雇用ではないため,退職金などの費用負担を求められることはない.

施設の解体費用も
よみうりランドの負担になる.

一部,船橋市の予算で設置された機材があり,その撤去費用のみ船橋市の費用で実施されるが,高額ではない.


ただし,電話投票などの基幹システム(日本トータの資産)の償却費は,
船橋市も一部負担しなければならない.

2015年度で終了すると,2016年度の歳入での補てんができなくなるため,小型自動車競走事業特別会計に約1億円の繰出しを行わなければならない.

おそらく,船橋市の
税金が使われるだろう.


それだけではない.
競輪の場外車券売場の
サテライト船橋をどうするかだ.

当面,今の施設を使い続けるという案もありだが,耐震化の問題から1年程度の延長しかできないだろう.
三井不動産も,それを望まないだろう.

船橋オートレース場内に,
競輪の場外車券売り場である
サテライト船橋がオープンしたのは,2008年12月23日(火)だった.

既存の
船橋オートレース場の山側観客席を改修した施設のため,新たな建物は建設しなかった.

改修も必要最低限とした.


かつて,
オートレースは特殊法人日本小型自動車振興会,
競輪は特殊法人日本自転車振興会が統括していた.

2005年の閣議決定で,自転車競技法および小型自動車競走法の一部が改正され,2008年4月1日をもってこれらの振興会は解散された.

そして,
オートレースと
競輪に関する業務は
財団法人小型自動車競走運営協議会(JKA)へ承継された.

つまり,
オートレースと
競輪は仲がよい.

オートレースがなくなれば,
無料送迎バスもなくなるため,わざわざ
サテライト船橋まで来てくれるだろうか.
京成船橋駅からの距離は 1.3km,徒歩で 17分もかかる.

それでなくても,客の高齢化は著しい.

そのようなことから
サテライト船橋は新たな場所に移転することになった.

では,その場所はどこなのか...
.

新しい
サテライト船橋の場所は,
船橋競馬場内の駐車場の一部を使って建設される.

工事は
奥村組(大阪市阿倍野区/資本金 198億円)がおこなう.


正式な発表はまだないが,2016年4月オープンになるものと思われる.


近年の
オートレースの場外車券売場は,
競輪場外車券売場に併設する形での開設を進めている.
<追加画像:2015年9月11日時点の工事現場>
▼千葉県船橋市浜町2丁目の船橋競馬場駐車場の一部で工事が始まった.


当初の場外は
アレッグ〇〇といった名称を使っていたが,オートレースをイメージしにくいという声から,最近は
オートレース〇〇といった名称を使っている.

ここも,
競輪だけでなく
オートレースの場外車券売場になるものと考えられる.


ここであれば,京成本線
船橋競馬場駅とJR京葉線(JR武蔵野線)
南船橋駅からの中間点になり交通の便もよい.

専用の無料送迎バスもいらないだろう.

バスの運行だけでも,年間3000万はかかっていると思われる.

船橋競馬場と
JRA,地方競馬の場外勝馬投票券発売所の
J-PLACE船橋との相乗効果もありそうだ.

オートレースは,
船橋競馬場を使って始まったが,本当の意味で
オート発祥の地での営業となる.

ただし,バイクは走らない.

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